サロン・ド・メ ( salon de mai ) （５月のサロン）」は、1943年に対独レジスタンス運動の一環として設立、1945年に第1回展を開きました。 ピカソやミロが逝去するまで毎年出品し続けた唯一の団体展として知られており、 その先鋭的な作品群は常に時代を凌駕し、近代フランス画壇のみならず、世界の美術界から最も注目を集め、高く評価されたサロンです。 この展覧会は、パリで開かれる他のサロンとは異なり、公募ではなく招待出品制をとっていたため、ヨーロッパ以外の在外作家が招待を受けることは、大変難しいとされていました。 しかし、1970年代が終わる頃、当時のサロン・ド・メ会長ガストン・ディール氏、事務局長ジャックリーヌ・セルツ氏および組織委員会と、ミロの旧友であり㈱ファイン・アーツ・インターナショナル代表の青木慎平氏（故人）との間に協力提携が取り交わされ、1981年にパリ、サロン・ド・メの組織委員を東京に迎えて入選作品と入賞作品の選考を行なう「第１回フィナール国際美術展」が開催されたことで、大賞受賞作品をパリのサロン・ド・メに招待出品作家として輩出することが可能となり、 日本在住作家の招待出品の窓口が開かれました。 当時は社員であり、パリ、カルチェ・ラタンで「ギャラリー彩」を運営しつつ、同人誌「パリ・ビジョン」の発行を担当していた故人【大村マリ】氏は、この国際美術展開催にあたり選考委員との調整や日仏作家の橋渡しとして尽力。その後、国際美術展入選者により1986年に発足した「サロン・ド・フィナール」においては専属の事務局として、また、後年のファイン・アーツ・インターナショナルの解散、青木慎平氏の逝去後も、ギャルリ・フィナール代表として、引き続きパリより選考委員を招いてのフィナール国際美術展や日仏現代作家展などを開催し、東京・パリ・マルセイユ・ソウル・上海他、国際美術展の企画を通じて世界各地での作家間交流や芸術的な相互研鑽、国際親交や異種芸術間の交流を図るなど、2014年に「サロン・ド・メ」が70余年の歴史を閉じるまで、大村マリ氏の持つ芸術的人脈は日・仏・他、現代芸術の発展において、或る一翼を担うことになった生涯であったと評させていただきます。

誰よりも猫を愛してやまなかった大村マリさん。心よりご冥福をお祈りいたします。

サロン・ド・フィナール会員一同